企業がファイリングの導入を考えるとき

様々な企業のファイリング導入を行って来ましたが、実際に接したりお話を聞いたりすると
以下のことを実現したいと考えて企業はファイリングの導入を考えます。

オフィスでは、文書作成や処理、打ち合わせ、情報分析など様々な業務があります。
その中で文書作成や処理はどの仕事でもベースになることです。
ですが、文書量の増加や必要な時に探している文書がなかなか見つからないなど、業務遂行に支障をきたしているような場合にファイリングの導入を考えます。

オフィスワークの無駄については「オフィスワークと効率化のページ」をご覧下さい。

執務環境やレイアウトが良くないと、ワーカーにストレスが貯まり、作業効率や意欲が低下します。
特に文書が多いオフィスでは、執務環境が悪くなりがちです。
仕事のしやすく快適な環境づくりを実現したいと考え、ファイリングを導入に至ることがよくあります。

オフィスの移転に際しては、移転コストを抑えたり、新しい場所でのレイアウト、適正な収納什器のタイプや数量など、いろいろ検討することがあります。
また、大概のケースで文書量の削減は急務となります。
ファイリングはオフィス移転の際に導入すると、一番その効果が実感できます。
移転6か月前に終わらせておくとベストです。

オフィスをリニューアルする時に、レイアウト変更や新しい収納家具を導入することがあります。
大切なのは、行動動線や安全を考えたレイアウトにすることです。
また、本当に使いやすいキャビネットを適正な数量購入することです。
ここでも文書の減量化と、整理方針を明確にしておくことが求められます。

リニューアルに伴いレイアウト変更をしたオフィス

組織の大切な文書や情報、資産としての記録の保全は、企業存続のための最重要課題です。
また、きちんと整理されていないオフィスでは、地震などの災害時に物の落下などによって人がケガを負う危険性もあります。
オフィスの危機管理対策の糸口はファイリングにあるといっても過言ではありません。

地震によって物が落下するオフィスの写真/地震によって保存文書が落下する書庫の写真

特に東日本大震災以降、災害対策としてファイリングを導入する企業が増えています。

情報公開法やPL法の施行により説明責任(アカウンタビリティ)が重視されています。
PL法では、メーカーは裁判を起こされた場合に、自社の責任ではないことを証明すればよいということになり、製品の製造・加工・出荷・販売などの記録や品質管理データなどの確実な保存が必要です。
また、内部統制やコンプライアンスなどの面からも記録管理の重要性は周知のとおりです。一歩対応を間違えると企業存続の危機にも成りかねません。

ISOの取得でファイリングが大いに役立つのがISO9001とISO27001になります。

ISO9001は品質保証に関する国際規格です。関係部署では、原材料の購入関係書類、受入検査、データー、生産条件、操業記録、製品の検査など全ての記録を保存することが義務付けられています。

ISO27001は情報セキュリティをきちんと管理できる企業であることを知らせる審査企画です。
情報セキュリティマネジメント全体の構築・運用や文書管理・記録管理の要求があります。

どちらの場合も、適切な文書・記録の管理が求められ、ファイリングの考え方や手法が役立ち、取得への近道となります。

組織の合併、統廃合の場合、今までお互いに違ったシステムや業務が統廃合され、新たな枠組み・仕組みづくりが必要になります。
そのような場合に、文書や情報の洗い出しやワークフローを考えて分類・整理を行うファイリングを導入すると、双方の情報の共有化などスムーズに行うことができます。

一般的に、公的・公営企業などは国からいろんな面で保護されています。
民営化するということは民間企業になることですから、利益を追求し、コスト意識をもつことが求められ、そのために効率化と生産性アップへの「意識改革」が必要になるわけです。
ファイリングは仕事とオフィスを見直し、社員一人ひとりの身近なところから、全員参加で取り組め、効果が「見える化」できる事業なのです。

IT技術の進展には目を見張るものがありますが、そのため私たちのオフィスでは紙文書と電子文書が混在して、大きな問題になっています。
また、パソコンやサーバー内のデータ管理についても明確なルールを定めているところは極めて少ない状態です。
紙文書と電子文書のメリット・デメリットを比較し、効果的な切り分けと運用が必要です。
紙文書も電子文書も考え方の基本は同じです。
スムーズな両者の管理を行うためにはファイリング導入が不可欠です。

個人情報保護法は、2005年4月より全面施行され、一般的には馴染んできてはいるものの、依然として事件や事故のニュースが後を絶ちません。
セキュリティに関する方針や規定を作成し、物理的な制限を設けていても、人の意識を変えないと効果を発揮しません。
会社として個人情報保護のしくみを確立し、適正に取り扱うことが大切です。
ファイリングでは、個人情報も含めて適切に整理・保管のルール作りをします。

「見える化」は組織において、企業活動の様々なものを「見える」ようにする試みのことで、広い意味での「情報共有」のことです。
これは、企業経営のあらゆる問題を発見・解決し透明性の高い企業風土を作るための基盤となることです。

しかし、現実のオフィスは情報も仕事も人も「よく見えない」状態のところが多く、どこから手をつけてよいかわからないというケースが見受けられます。
ファイリングではオフィスの文書や情報を原則すべてを共有化し、具体的な手法で仕事が「見える」状態を作り上げていきます。
大切なことは、「何が見えて」次にどんな「行動」を起こすかです。

事象→見える→識別する→判断する→行動する 文書(情報・仕事)→ファイリング導入→識別する→判断する→行動する

「5S」とは整理、整頓、清掃、清潔、躾のことを指します。
ファイリングそのものが、整理、整頓を行い、ルールを決めて組織で維持管理することなので、自然と文書や情報の5Sにもつながります。
「2S」や「5S」運動の一環としてファイリングを取り入れる企業も多数あります。

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